畳の間で重ねた日々を、この手帖に

はじめまして。猫と畳の手帖をひらいてくださって、ありがとうございます。ここは、日本の住まいで猫と暮らす人のために、日々のことを少しずつ書き留めている場所です。

扱っているのは、毎日の食事のこと、毛づくろいのこと、トイレのこと、体調の小さな変化に気づくための見かた、そして季節ごとに住まいをどう整えるかということ。猫との暮らしには、答えがひとつに決まらない場面がたくさんあります。だからここでは、こうなったらこうする、と決めつけるのではなく、記録を続け、観察を重ねていくための手順と、判断の目安になることを書いています。

書いているのは、縁側の猫係という者たちです。幼いころから猫と同じ屋根の下で育ち、畳の部屋や縁側のある住まいで、食事の支度をし、抜け毛を集め、トイレの砂を替え、暑さや寒さの備えをしてきました。その時間のなかで気づいたこと、うまくいったこと、うまくいかなかったことを、長いあいだ手もとに置いてきた人たちです。

ですから、ここにあるのは一般論だけではありません。梅雨の湿気で畳がしっとりする日のこと、換毛期に部屋のすみへ毛の塊が集まること、冬に猫が日向を追いかけて少しずつ場所を移していくこと。そういう、実際の暮らしの匂いのする話が土台になっています。同じ屋根の下で過ごした時間の長さが、そのまま中身になっています。

ひとつだけ、はっきりさせておきたいことがあります。縁側の猫係は獣医師でも研究者でもありません。病気を見つけることも治療することもできませんし、そのつもりもありません。猫の様子がいつもと違うと感じたとき、判断に迷ったときは、迷わず動物病院に相談してください。この手帖はその代わりになるものではなく、毎日の様子を見続けるための、隣の席のようなものです。できないことをできないと書いておくほうが、読んでくださる方の役に立てると考えています。

ここは、完成した答えを配る場所というより、縁側に誰かが座っているような場所です。読みながら、うちの猫はどうだったかな、と手を止めてもらえたら、それでいいと思っています。

感想や、うちではこうしているという話がありましたら、[email protected] までお寄せください。お問い合わせのページからも受け取っています。

縁側の猫係