おやつのカロリーを数えずに与え続けると体重に何が起きるか

この記事の目次
  1. 足し算をやめて、引き算にする
  2. 「数粒」が単位にならない理由
  3. 引いた分は、どこから持ってくるのか
  4. 体重計より、肋骨と腰を先に触る
  5. 同じ秤、同じ時間に乗せる
  6. 増え続けているときは、自分で減量メニューを作らない
  7. 手帳の一行が、いちばん効く

おやつのカロリーを数えずに与え続けると、体重は少しずつ増えます。そして増えた分を主食で帳尻合わせすると、体重計の数字は元に戻っても、食べているものの中身は別物になっていきます。対処は足し算ではなく引き算です。その日のカロリーの総量を先に決め、おやつの枠をそこから引いて確保し、残りを主食に割り当てる。順番をこれだけ入れ替えると、袋を開けるたびに迷うことがなくなります。

夜、台所の灯りの下で、私はおやつの袋を裏返します。裏面の小さな表のなかに「代謝エネルギー」とか「ME」とか書かれた欄があって、そこに「100gあたり◯kcal」と入っている。隣にキッチン秤、その横に猫の食器、手元に手帳。この三つが揃ってから、袋の口を切る。

以前はこの作業をしていませんでした。袋を開けて、手のひらに数粒出して、猫が鳴けばもう数粒。それが1日に何回あったかも数えていなかった。体重計に乗せて数字が増えているのを見て、ようやく手を止めた。増え方は急ではなく、1か月で100gとか、その程度。だから気づくのが遅れたんだと思います。

足し算をやめて、引き算にする

多くの人がやっているのは足し算です。主食は主食で決まった量を与え、そのうえでおやつを追加する。追加した分は、当然その日の総量の外にある。

私が変えたのはここで、まずその子の1日のカロリーの目安を決める。これは獣医に確認するのが確実で、私もそうしました。一般には、避妊去卵済みの室内成猫で体重1kgあたり40〜60kcal程度という幅が目安として使われることが多い。幅がこれだけ広いのは活動量と体型で変わるからで、この幅から自分の猫の数字を決めるのは獣医の仕事だと私は思っています。

目安が決まったら、そのうちの1割ほどをおやつの枠として先に取り分ける。残りが主食に使える分になる。

たとえば計算の練習として、1日の目安を240kcalと置いてみます。おやつの枠は24kcal。袋に「100gあたり400kcal」とあれば、24÷400×100で6g。その日のうちに猫の口に入れてよいおやつは6gまで、ということになる。

実際に6gを秤に載せたとき、思わず笑いました。小さい。指でつまんで、二、三回で終わる量。それまでの「数粒」がどれくらい適当だったか、一度で分かった。

1粒あたりで書かれている場合

袋に「1個あたり◯kcal」と書いてあれば、割り算はひとつで済みます。24kcalの枠なら、1個5kcalのもので4個。1個12kcalのものなら2個。ここで大事なのは、個数の上限は商品ごとに違うという当たり前の事実で、頭のなかの「いつもの3粒」を持ち込むと計算が合わなくなる。

「数粒」が単位にならない理由

おやつは商品によってカロリー密度がまるで違います。軽いフリーズドライの肉なら1粒0.5gほどで2kcal前後、やわらかいジャーキー系なら1粒3gで10kcalを超えることもある。どちらも「3粒」なら、6kcalと30kcal。1日の枠が24kcalなら、前者は余裕、後者は枠を超える。

同じ「3粒」という言葉を使いながら、中身は5倍違う。だから数粒という単位は、少なくともカロリーの話をしているときには使えません。使うならグラムか、カロリーそのものに置き換える。

面倒なら、大きいおやつは包丁で割る。半分にすれば半分のカロリーになる。これも立派な調整で、私は最初これで誤魔化していた時期があります。ただ、割ったあとの片割れがどこかへ行く。結局は秤に戻ってきました。

引いた分は、どこから持ってくるのか

ここが一番、抜けやすいところです。

おやつの枠を決めても、主食の量をそのままにしていたら、それは足し算のまま。枠のなかでおやつを出すなら、主食は枠の分だけ減らす。減らす量は、おやつのカロリーを主食のカロリー密度で割れば出る。主食が100gあたり350kcalなら、24kcalはおよそ7g。1日のおやつが6gなら、主食は7g減らす。毎日のことなので、最初に一度決めて、スプーン一杯ぶんの増減として覚えてしまうのが楽です。

ただし、減らすのは主食の「量」であって、「中身の割合」ではない。

主食を2割減らせば、タンパク質も、タウリンも、ビタミンも、まとめて2割減る。だからおやつの枠は1割前後にしておく。これ以上になると、カロリーの計算は合っているのに、栄養のほうが薄くなっていく。私が1割という数字を大事にしているのは、安全というより、この線を越えると引き算の意味が変わってしまうからです。

そして、おやつを数えずに与え続けたときに実際に起きるのは、体重が増えることだけではありません。増えた体重を戻そうとして主食を目分量で減らすと、体重は元に戻る。戻るけれど、そのとき猫は「同じカロリーの、違う食事」を食べている。数字の上では何も変わっていないのに、おやつの比率だけが上がっている。これが一番たちが悪い。

体重計より、肋骨と腰を先に触る

毎朝、猫が食器の前に座る前、私は手を背中に回します。肋骨の上に指を置いて、軽く往復する。手の甲を触ったときくらいの抵抗があればいい。指の関節が当たるくらい硬ければ痩せ寄り、指が沈んで肋骨の境目が分からなければ厚みがある。

腰のくびれも見る。上から見て、肋骨の後ろが軽くくびれているか。横から見て、お腹の線が後ろ足に向かって少し上がっているか。

体重計の数字だけを見ていると、この変化を取り逃す。毛の状態でも、食後かどうかでも、便や尿でも、100g単位は動く。数字はトレンドを見る道具で、その日その日の判断は手の感触のほうが早い。逆に、手だけで判断すると、少しずつの増加には慣れてしまう。だから両方使う。

同じ秤、同じ時間に乗せる

記録するなら条件を揃えます。うちは朝、トイレを済ませて、ごはんの前に、同じ体重計で測る。人が乗る用の体重計に私が抱えて乗り、あとから自分の体重を引く。ペット用の小さな秤があるなら、それ一台で測ったほうが誤差は小さい。

測ったら、日付、体重、その日のおやつのグラム数を手帳に一行で書く。私はこれ以上細かくつけていません。細かくしすぎると続かないし、続かない記録は無いのと同じだから。

見るのは1日ごとの数字ではなく、1週間の平均。1日の100gの上下は、ほとんど意味がありません。1週間の平均が3週続けて上がっている、というときに初めて、おやつの枠か主食の量を見直す。逆に、体重が変わらないのに肋骨が触りにくくなっているなら、それも変化です。

増え続けているときは、自分で減量メニューを作らない

おやつを枠内に収めて、主食も調整して、それでも増え続けるなら、次に動かすのは主食の量ではなく、獣医に相談するタイミングです。

猫の減量を自己流でやると、食べない期間ができて肝臓に負担がかかる危険がある。だから私は、おやつを削るところまでは自分でやるが、主食を大きく減らす判断はしない。ここは線を引いています。

相談するときは、手帳を持っていく。体重の推移と、おやつのグラム数と、いま食べているフードの表示カロリー。この三つがあると話が早い。数字を持たずに「太ってきた気がする」と言うより、はるかに具体的な話になります。

手帳の一行が、いちばん効く

結局、続いているのは地味な作業だけです。袋を裏返す。グラムを測る。主食を数グラム減らす。体重を書く。手を当てる。

おやつをあげる回数は、たぶん前とそんなに変わっていない。変わったのは、そのたびに「今日の残りいくつ」を意識するようになったこと。数えているというより、引いている感覚に近い。

袋を閉じて、手帳に「おやつ 6g」と書く。その一行があるだけで、翌朝の体重計の数字が、ただの数字ではなくなります。

縁側の猫係

著者について

縁側の猫係

幼い頃から猫と共に暮らしてきた人たちの著者名義です。畳や縁側のある暮らしのなかで、日々の食事、毛づくろい、トイレ、季節の備えを重ねてきた経験をまとめています。

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