袋の100gあたりのカロリー表示は、そのままでは1日の食事量になりません。給与量表で猫の今の体重にいちばん近い行を探し、そこに書かれた幅の少ないほうから始めて、1日分をキッチンスケールで計って出す。そして数字より先に、肋骨と腰の触り心地で量を直していく。この順番で決めると、袋の表示と目の前の猫がつながります。
私がこの形に落ち着いたのは、台所の作業台の前で何度も袋を裏返したからです。夜、足元で猫が尾を立てて待っている。裏面は照明が斜めに落ちて読みにくく、スマホのライトを当てて小さな表を目で追っていました。目安体重が何段階か並んでいて、その横に幅のあるグラム数。以前はその真ん中あたりを大さじで適当にすくっていました。すくうたびに量が違うのに、猫の体つきが変わるまでそれに気づかなかった。今は違います。袋、猫、スケール、この順に目を動かすと決めています。
カロリー表示は、書いてあるのが当たり前ではない
袋の裏を探すと、たいてい「代謝エネルギー」として100gあたりのkcalが書かれています。ただこれは必ず表示しなければならない項目ではなく、載っていない袋もあります。私が持っている袋の中にも、給与量表はあるのにカロリーの数字が見当たらないものがありました。そのときは数字を追うのをやめて、表のグラム数だけで始めます。カロリーが分からないから量が決められない、ということはありません。
逆に、カロリーだけ書いてあって給与量表がない袋もあります。その場合は、まず表の代わりに自分の猫の体重を基準にして、少なめから試すしかない。どちらか片方しかない袋のほうが、実は判断を迫られて勉強になります。
表の行は「目安体重」であって、うちの猫の体重ではない
給与量表は、3kg、4kg、5kgというように何段階かの目安体重で区切られ、横に「40〜55g」のような幅で書かれているのが普通です。ここで多くの人が、幅の真ん中を選びます。私もそうでした。でも表が幅になっているのは、同じ4kgでも避妊去勢しているか、室内で一日寝ているか、若いかシニアかで必要量が変わるからです。表は答えではなく、候補の範囲をくれるだけのものです。
だから最初にやるのは、うちの猫の体重を測って、表の行に置き換えること。4.2kgなら4kgの行、5.4kgなら5kgの行です。そして幅の少ないほうから始める。増やすのは比較的かんたんですが、減らすのは時間がかかる。この非対称性を知ってから、私はいつも下から入るようにしています。
大さじをやめて、スケールに替えた
計量スプーンは、すくい方でかなりばらつきます。すりきりにしても、フードの粒の形や袋の底のほうの細かい粉で密度が変わる。同じ「大さじ1」が、日によって1割違うことも珍しくないと思います。
今は朝、ボウルをキッチンスケールに載せて0表示にし、1日分をまとめて計ります。たとえば60gと出たら、それを容器に入れて、朝と夜で半分ずつ。1回ずつ計るより、1日分を先に確定させたほうが、夜に「今日は多めにあげたいな」という気分が入り込む余地がありません。スケールは0.1g単位まで見えるものが扱いやすい。1g単位だと50gと51gの違いが表示されず、調整の手応えが消えてしまいます。
100gのカロリーから、1日分のカロリーを出す
数字の扱いは単純です。100gあたりのkcalに、与えるグラム数を100で割った数を掛けるだけ。たとえば100gあたり360kcalのフードを1日60gなら、360×0.6で216kcal。この計算を一度やっておくと、あとで別の袋に切り替えたときに、量をどれくらい動かせばいいかの見当がつきます。袋が変わればカロリーも変わるので、切り替えのたびにこの計算はやり直します。前の袋のグラム数をそのまま持ち込むと、静かにずれます。
計算した数字を毎日記録する必要はありません。私は袋の裏か、スマホのメモに「この袋は1日◯g」と一行書くだけ。その一行があると、家族が代わりにあげるときにも迷いません。
ウェットを混ぜている日は、同じグラムで並べない
ここが一番、頭の中で混ざりやすいところでした。ウェットフードは水分が75〜80%程度あり、同じ100gでもドライフードよりカロリーがかなり低い。ドライが100gあたり300kcal台から400kcal台に収まることが多いのに対して、ウェットは100gあたり数十kcalから100kcal前後。桁が違うと言ってもいい。
だから「ドライ30gとウェット半分」のような日は、グラムを足してはいけません。それぞれのカロリーを出して、合計で1日の枠に収める。器に山盛りに見えるウェットのほうが、実際には軽いことがよくあります。見た目の量に引っ張られると、私のように「たくさんあげた気がするのに足りていない」という逆転が起きます。
おやつは上に足さず、下から出す
おやつにもカロリーがあります。ここを別枠にすると、どれだけ正確に食事を計っても意味が薄れます。私の場合は、おやつを10gあげた日は食事を10g減らす、と決めました。厳密にやるというより、同じ袋の同じ粒で置き換える感覚です。
実際にやってみると、おやつの10gが思ったより大きいことに驚きます。数粒で2g、3g。逆に、夕方に何度も呼ばれて少量ずつあげていると、気づかないうちに20gを超えている。だから私は、おやつも一度スケールに載せて量を確認しました。それ以来、あげる回数より合計グラムを見るようになりました。
数字より先に、肋骨と腰に触る
体重計の数字は月に1回で十分です。同じ時間帯、食前、できれば同じ場所で。抱っこして人用の体重計に乗る測り方は手軽ですが、猫の動きで数百グラムは平気でぶれます。私はそれで一喜一憂して、意味のない調整を繰り返していました。
代わりに週に一度、背中を撫でるついでに肋骨に指を当てます。軽く触れて骨の凹凸が分かるくらい。上から見て腰にくびれがあるか、下から見てお腹が張っていないか。この触り心地は、体重の数字より早く変化を教えてくれます。数字は月単位でしか動かないのに、触感は週単位で変わるからです。
調整は小さく。数グラム動かして、二週間ほど続けてから、また触る。大きく変えると、何が効いたのか分からなくなります。
それでも合わないと感じたら
食べている量は合っているはずなのに、体重が急に減った、毛艶が悪い、水をよく飲む、トイレの回数が変わった。そういうときは、量の調整では解決しません。持病がある猫の量は、私がここで書いた手順の対象外です。動物病院で相談するべき領域だと、はっきり分けて考えています。
袋の数字は、毎日の猫を見るための道具です。道具が先に来ると、猫のほうを見る時間が減る。私はそれを一度やってしまったので、今は触ることを先にしています。