猫砂は種類より先に何で選ぶ?失敗しないための素材の見分け方

この記事の目次
  1. まず猫の手のほうを見る
  2. 次に自分の住まいを棚卸しする
  3. 素材は、性質だけを見る
  4. 替えるときは、混ぜて時間をかける
  5. 迷ったときに戻る場所

猫砂は、種類を並べて比べるより先に、「その家の猫がどんな手触りを掘りたいか」と「その住まいが何を引き受けられるか」という二つの軸で選ぶ。この二つを決める順番さえ固定してしまえば、棚の前で止まる時間も、素材を替えるかどうかの判断も、毎回同じ場所に戻ってくる。

猫砂は種類より先に何で選ぶ?失敗しないための素材の見分け方

まず猫の手のほうを見る

私が売り場で長く立ち止まるのをやめたのは、家の中で猫を見るようになってからだ。夜、猫がトイレに入る。前足で床を二、三回引っかく。その音を隣の部屋で聞いている。ざっ、ざっ、と軽く流れるのか、じゃり、と一粒ずつ鳴るのか。音が違えば、肉球に触れている粒の大きさが違う。

袋を開けたら、まず手のひらですくってみる。指の腹でつぶす。角があるか、丸いか、粉が残るか。人間の手でも粒の大きさはわかる。ただ、猫の肉球はもっと敏感だ。同じ「小粒」と書かれた袋でも、指に刺さる感じはまるで違う。

いちばんはっきりした合図は、入らないという行動だった。新しい砂を入れた翌朝、うちの猫はトイレの前に座り、中をのぞき、匂いを嗅いで、そのまま歩いていった。あの背中を見たときは、袋の表示を読むより早く「違う」とわかった。猫は気に入らなければ、我慢して使うより、別の場所を探したり、入るのを後回しにしたりする。

匂いも同じくらい効く。人間にはほとんど無臭に感じるものでも、猫の鼻にはっきり届く。「消臭効果つき」という表示は人間側の快適さの話であって、猫にとってプラスとは限らない。無香料のものを基準に置いて、どうしても匂いが気になるときは、砂ではなくトイレの置き場所や換気のほうを先に疑ったほうが早い。

次に自分の住まいを棚卸しする

猫の好みが見えてきたら、次は自分の側。ここを飛ばすと、いい砂にたどり着いても続かない。

運搬の重さ。鉱物系の砂は袋の時点で重く、尿を吸ったあとはもっと重い。エレベーターのない階段、玄関からトイレまでの距離、ゴミ置き場までの距離。買ってきた袋を運ぶ腕と、ゴミを出す朝の腕は同じ腕だ。袋を抱えて階段を上がりながら、「これを週に何回できるか」と自問したことがある。

ゴミの出し方。ここは自治体で本当に違う。燃えるゴミでいい地域もあれば、出し方が指定されている地域もある。収集の頻度も、袋の指定も違う。私はまとめ買いの前に、区や市のごみガイドのページを開いて確認するようにしている。安いからと段ボールで買って、あとで捨て方に困るのがいちばんもったいない。

収納と換気と床。日本の住まいの収納は限られている。未開封の袋が二つ入るかどうかで、買える量が決まる。トイレが脱衣所や浴室の隣にあるなら、冬に窓を閉め切ったときのこもり方も考えておく。粒が飛ぶ範囲、マットの大きさ、トイレの縁の高さ。これも「自分の住まいが引き受けられるか」の一部だ。

素材は、性質だけを見る

住まいの条件が出たら、素材は仕組みで選ぶ。名前で選ばなくていい。

鉱物系は、尿を吸って膨らみ、固まる。固まった塊を取り除けばいいので、全部を替える頻度は下がる。固まらないタイプは吸うだけで、その分こまめに全部を替えることになる。植物系は木、紙、おから、トウモロコシなどで、軽さや崩れ方に幅がある。シリカゲルは粒が乾いていて、色の変化で交換の目安がわかる。システムトイレ用のペレットは、穴の開いたトレイの上に敷く前提で作られているので、普通のトイレにそのまま入れると役割が噛み合わない。

床に散る砂は、品質ではなく粒の大きさと形の問題だ。小さい粒、角のない粒ほど、足について部屋に出る。トイレの出口にマットを置く、縁の高い容器にする。対策は砂を替えることではなく、出口で受けることになる。

替えるときは、混ぜて時間をかける

猫は、掘る面の感覚を覚えている。ある日いきなり全部が変わると、そこはもう自分のトイレではなくなる。古い砂と新しい砂を混ぜて、一〜二週間かけて新しい方の割合を増やす。最初は半々くらいから。途中で前の砂のほうに戻りたがる素振りがあれば、割合を戻す。急がないことだけがコツで、それ以外に特別な手順はない。

記録も効く。いつ、何を、どのくらい混ぜたか。猫が入るまでの間、掘る音、出たあとの足。スマホのメモでいい。人間の記憶は「前はどうだったか」を都合よく書き換えるので、砂の話は特に、書いておいたほうが後で楽になる。

迷ったときに戻る場所

種類はこれからも増える。粒の大きさも、素材も、匂いの有無も。それでも、戻る場所は二つしかない。猫がどんな手触りを掘りたいか。自分の住まいが何を引き受けられるか。この順番を決めておけば、新しい袋の前で立ち止まっても、考えることは最初から同じ一箇所に固定される。

最後に一つ。私には自分の猫の好みしかわからないし、あなたの猫の肉球の感覚も、あなたの家の階段の段数も知らない。だからこの記事は答えを渡す代わりに、順番を渡しておく。あとは、夜に聞こえる掘る音が教えてくれる。

縁側の猫係

著者について

縁側の猫係

幼い頃から猫と共に暮らしてきた人たちの著者名義です。畳や縁側のある暮らしのなかで、日々の食事、毛づくろい、トイレ、季節の備えを重ねてきた経験をまとめています。

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