毛玉がある猫は洗う前にほどく、濡らすと固まる理由とほぐし手順

この記事の目次
  1. 乾いている状態でしかしっかり分からない
  2. 濡らすと固まる理由
  3. ほどくときの手の動き
  4. 洗う前に落とす抜け毛
  5. 洗ったあとに、もう一度
  6. 手を出さないほうがいい毛玉

毛玉ができた猫は、お風呂の前にほどいてください。濡れた毛は縮んで互いに寄り合い、ほどく前より固く締まります。水を含んだ毛玉は指を入れても芯が逃げず、引っぱれば皮膚ごと持ち上がる。順番は、ほどく、浮いた抜け毛を落とす、それから洗う。これを逆にすると、洗ったあとのほうが手入れはずっと難しくなります。

私がこの順番を体で覚えたのは、逆のことをしてしまった日でした。脱衣所の床に洗面器を置いて、お湯を張って、膝の上で猫を押さえた。毛玉は前脚の付け根に一つ、お腹の下に小さく二つ。指で触れば分かる程度のものだったので、洗ってふやかせばほどきやすくなるだろうと思っていたんです。

シャンプーを泡立てて流した瞬間、手のひらの感触が変わりました。さっきまで指が入った塊が、今度は指を押し返してくる。タオルで包んで、ドライヤーを当てて、乾いてからコームを入れたけれど、歯は途中で止まって、それ以上びくともしませんでした。猫は身をよじって逃げ、私はコームを持ったまま床に座り込んだ。あのときの乾いた毛玉の硬さは今も覚えています。フェルトのように、一枚につながっていました。

それ以来、洗う前に必ず手で全部さわるようになりました。あなたも今日、風呂の用意をする前に、まず猫を膝にのせて、同じことをしてみてください。

乾いている状態でしかしっかり分からない

猫を膝にのせて、毛の流れに逆らって一度だけ撫でます。手のひらに「ざらっ」と引っかかるものがあれば、それが毛玉の入口です。前脚の付け根、お腹の下、首輪のあたり、尻尾の付け根。この四か所は歩くたびに擦れて、汗や唾液の水分が溜まるところで、うちの猫も毎回ここから始まります。濡れてからでは、このざらつきは消えて、代わりに硬い芯になる。見つけるなら乾いているときです。

毛をかき分けて地肌まで見ようとすると、猫はたいてい嫌がります。だから全面的に見ようとしなくていい。撫でるついでに指の腹で四か所を確認する、くらいの温度で十分です。見つけた毛玉の数と場所を、その日のうちに覚えておく。次の日にもう一度さわると、同じ場所が少し硬くなっているか、指が入るようになっているか、どちらかが分かります。

濡らすと固まる理由

毛は水を吸うと膨らみ、乾くときに縮みます。絡んだ毛の束はその縮みを均等に逃がせないので、繊維同士がより深く噛み合ったまま固まる。毛玉はもともと絡みが固定された塊ですから、水はその固定を締め直す方向に働きます。洗剤と手の摩擦が加われば、羊毛でいうフェルト化に近い状態が猫の毛でも起きる。だから毛玉を残したまま洗うのは、毛玉を育てているのと同じことなんです。

もう一つ、洗ったあとには乾かす時間があります。毛玉が残ったままの状態でドライヤーを当てると、表面は乾いても塊の内側に湿気が残りやすく、生乾きのまま固まって、翌日にはさらに硬くなっている。これが、あの日いちばん参ったところでした。

ほどくときの手の動き

毛玉は外側の縁から崩します。中心を引っぱると、塊ごと皮膚を持ち上げることになる。まず毛束を指でつまんで、皮膚の近くを軽く押さえる。押さえたまま、毛先のほうから少しずつ分けていく。層を一枚ずつ剥がす感じで、外側から内側へ。

指が入るようになったら、そこに広い歯のコームを差し込んで、毛先に向かって短く動かします。細い歯のコームはその後。最初から細かいコームを突っ込むと、途中で止まって、猫が痛がって、そこで終わりになります。一度にきれいにしようとしないこと。うちは5分で切り上げて、おやつを一粒。次の日に続きをやります。嫌がられて膝にのってくれなくなるほうが、ずっと高くつきます。

ブラシをかけるときも同じで、根元を手で押さえてから毛先へ。根元を押さえないと皮膚が引っぱられて、猫は逃げます。毛先から根元へ向かって少しずつ、押さえたところまで。これを繰り返すと、皮膚を守りながら絡みだけがほどけていきます。

どうしても指が入らないとき

無理に広げようとすると、毛が切れて短い毛が残り、そこが次の絡みの芯になります。少しずつ、二日、三日かけて分けていくほうが結局は早い。それでも動かないときは、その日はやめる。乾いた状態で硬い芯が残っているなら、家でなんとかしようとしないでください。

洗う前に落とす抜け毛

換毛期は、毛玉より先に下毛が問題になります。抜けても落ちきらずに残った毛は、濡れると縮んで小さな塊になり、残った毛に巻きついて固まります。洗う前にコームで浮いた毛を落としておくと、洗ったあとの毛が乾きやすく、コームも通る。これも洗ってからでは遅い作業です。

お腹の下や後ろ脚の内側は、普段の毛づくろいで取りきれずに残りやすい場所です。ここを洗う前に一度通しておくだけで、乾かす時間が目に見えて短くなります。

洗ったあとに、もう一度

毛玉がなくなってから洗う。タオルで水を吸わせて、ドライヤーで根元まで乾かす。乾いたところでもう一度コームを入れると、洗う前に見落としていた小さな絡みが出てきます。乾いた状態でそれを見つけて、指でほぐす。ここまでが一続きで、お風呂はその真ん中にある作業だと思っています。

手を出さないほうがいい毛玉

触って芯が硬い、皮膚に張り付いて持ち上がらない、触るだけで嫌がる。そういう毛玉は、家で無理をしないでください。はさみは使わない。猫の皮膚は薄くてつまみやすく、毛玉の下が見えない状態で刃を入れるのは危ないんです。皮膚が近い毛玉は、かかりつけの獣医師かトリマーに相談する。うちも一度だけ、どうしても指が入らない塊をかかえて相談しました。自分でなんとかしようとして傷つけるより、そのほうがずっと早い。

洗う前に、手のひらで一度さわる。それだけで、お風呂のあとの手入れがまるごと変わります。あの日コームが止まった感触を思い出すたび、順番だけは間違えないでおこうと思います。

縁側の猫係

著者について

縁側の猫係

幼い頃から猫と共に暮らしてきた人たちの著者名義です。畳や縁側のある暮らしのなかで、日々の食事、毛づくろい、トイレ、季節の備えを重ねてきた経験をまとめています。

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