シャンプーのあとで乾かしきれないときに調整するのは、ドライヤーの温度や風量ではなく、洗い場から出るまでに使うタオルの枚数です。タオルは3〜4枚を手の届く場所に用意し、地肌まで届く水分を押さえて移してから、低温のドライヤーを離れた位置から当てます。ドライヤーを怖がる猫は、温めたタオルと、先に暖めておいた部屋で仕上げるほうが現実的です。ブラシは毛が完全に乾いてから。冬はこの順番を入れ替えたときに、静電気と毛玉がまとめて出ます。

洗い場で使うタオルは、思っているより多い
うちの猫を洗い終えて湯から抱え上げた瞬間、まずやるのはドライヤーのスイッチを探すことではありません。タオルに手を伸ばすことです。洗面所の手が届くところに、大きめのバスタオルを3枚、小さめのタオルを1枚、積んでおきます。猫の毛は見た目よりずっと水を含んでいて、1枚では表面をなぞっただけで終わります。2枚目でようやく肌のほうの水分が移り始め、3枚目で「もう雫は落ちない」という状態になります。4枚目は、途中でタオルが絞れるくらい濡れたときの交換用です。濡れたタオルで拭き続けても、水分はタオルから猫に戻っていくだけなので、これは惜しまないほうが結局早く終わります。
拭き方は、こするのではなく押さえる。タオルを背中にかぶせ、手のひらを平らにして、体重をかけずに3つ数えます。離して、少しずらして、また押さえる。これを背中、脇、お腹、脚の付け根の順に進めます。こすると毛が絡み、皮膚が引っ張られ、そして冬の乾いた部屋では摩擦で静電気が起きます。猫がシャンプーを嫌がる理由の半分は、この拭き方のほうにあります。顔まわりは別の小さいタオルで、耳の後ろをそっと押さえるだけにします。
ドライヤーは「音」から入れる
ドライヤーは、猫のそばでスイッチを入れるところから始めません。まず洗面所の外、あるいは脱衣所のいちばん遠い場所でスイッチを入れ、音だけ聞かせます。猫が逃げるなら、それでいい。その日は音だけで終わらせます。
それを数日繰り返して、音に反応しなくなってきたら、1メートル以上離して、いちばん低い温度設定で当て始めます。風は顔に向けない。手のひらをドライヤーと猫の間に毎回入れて、熱くないことを確かめます。人間の手が「少し熱い」と感じる温度は、猫の皮膚にとってはもっと強いものです。
途中で猫が歩き出したら追いかけません。いつでも自分で空気の当たる範囲から出られる状態にしておくこと、これがこの段階でいちばん効きます。抱き込んで固定すると、その日は乾いても、次のシャンプーで手がつけられなくなります。ヒーターの前や、閉めきった浴室に濡れた猫を置いて乾かすのもやりません。表面だけ乾いて中は冷たいままですし、逃げ場のない場所に置くこと自体が危険です。
ドライヤーが通らない日の仕上げ
うちでは、どうしてもドライヤーが無理な日に備えて、温タオルを用意します。乾燥機で数分温めたタオルを重ねておくか、湯たんぽの上にタオルをかけておく。電子レンジで温めるのはやめました。部分的に熱くなり、猫の肌に当てられない温度の場所ができるからです。
先に脱衣所の暖房を入れ、部屋ごと暖めてから猫を入れます。タオルを体にかけて、毛の上から手で押さえる。冷めたら新しい温タオルと交換する。これを15〜20分続けると、ドライヤーほどではありませんが、肌に張り付く水分はかなり減ります。
この時間は、乾かすというより体温を落とさないためのものです。濡れた毛が肌に密着していると、体温はじわじわ持っていかれます。冬はこれがはっきり出て、シャンプーが終わってしばらくたっても小さな震えが続くことがあります。タオルを1枚増やすだけで、この震えの長さは変わります。
半乾きのまま寝かせたときに起きること
毛が半分乾いた状態が続くと、毛は寝て、平らになります。とくに固まりやすいのは、お腹の下、脚の後ろ、脇の下です。ここが乾かないまま半日から一日たつと毛が寄って固まり、あとでブラシを入れたときに無理に引っ張ることになります。
しかも冬の部屋は乾きすぎています。生乾きの毛にブラシを入れると静電気が起き、毛はさらに絡みます。猫はブラシを嫌いになり、こちらは「こんなに絡むなら洗わなければよかった」と思う。だから、ブラシは毛が完全に乾くまで置いておきます。乾いた翌日に同じブラシを入れれば、驚くほど引っかかりません。冬は乾くまでに時間がかかるので、ブラシをあきらめる日があっていいと思います。
静電気は、拭き終わりと乾き終わりに出る
冬の静電気は、毛が乾いているほど強く出ます。うちでやっているのは、猫に触る前に手を壁に一度つけること。それだけで、手から毛に飛ぶのがかなり減ります。加湿器は脱衣所ではなく、猫が普段いる部屋に入れておくほうが効きます。
もう一つ、拭き終わりにタオルで毛をこすらないこと。押さえて終わりにする。これだけで静電気が起きにくくなり、毛も寝にくくなります。乾いたあとに手を滑らせる程度のブラッシングなら、冬でもそれほど嫌がりません。
乾ききらない日は、切り上げる判断をする
ドライヤーを30分当てても生乾きなら、そこで切り上げます。温タオルに切り替えて、暖かい部屋に移す。無理に続けると、猫の中で「ドライヤーは捕まって逃げられない時間」になり、次のシャンプーのほうがずっと大変になります。
切り上げた日にできるのは、翌日まで何もしないこと。ブラシだけ、毛が乾いてから。それと、そもそもシャンプーの間隔を延ばすことです。冬は乾かすのが難しい季節なので、洗う回数を減らすのは手抜きではなく、猫の負担を減らす選択だと思っています。
皮膚や毛の様子がおかしいとき
乾かし方の話ではなくなるサインがあります。地肌が赤い、部分的に毛が抜けている、しきりにかく、かさぶたがある、においが強い。このあたりは家での工夫で何とかする範囲ではなく、動物病院で診てもらうほうが早いです。毛が乾いても暖かい部屋にいても震えが続く、元気がないというときも同じです。
乾かしきれない日に目指すのは、完璧に乾いた猫ではなく、冷えていない猫です。そして、次のシャンプーで逃げられない関係を残さないこと。洗い場のタオルを1枚増やすだけで、この2つは思ったより変わります。