猫のワクチンと寄生虫予防の年間カレンダーに健診をどう組むか

この記事の目次
  1. 受付で聞かれる一言
  2. 予約の電話のときに言っておく
  3. 寄生虫予防は「同じ月に置く」であって「同じ月に一回やる」ではない
  4. ファイルを一つに決める
  5. ずれたときの扱い

猫のワクチン、寄生虫予防、健康診断は、別々の予定として頭に置くと、たいていどれかが抜ける。一年のうち一つの月をアンカーと決め、その月に「ワクチンのための予約」と「健診という別の用事」と「寄生虫予防の見直し」をまとめて置く。ワクチンは接種のための予約であり、健診はそれに乗せる別の目的である、と最初から切り分けておくと、毎年同じ診察室で同じ質問ができる。

猫のワクチンと寄生虫予防の年間カレンダーに健診をどう組むか

受付で聞かれる一言

四月の平日午前、待合室の椅子はだいたい埋まっている。私はキャリーを膝に置き、膝の上で傾くたびに置き直す。消毒液のにおい、奥から聞こえる爪切りの音、隣のキャリーの中で鳴き続けている茶トラ。受付で問診票を渡され、名前、体重、最近の様子を書いたあと、「今日はワクチンだけで大丈夫ですか」と聞かれる。

この一言が、カレンダーの話の出発点だ。この問いには、ワクチン接種が「接種のための予約」だという前提が入っている。実際そのとおりで、注射の前に簡単な健康確認がある。体温、目やに、鼻水、口の中、腹部の触診、心音。ただしこれは「今日、注射を打ってよい体か」を確かめるためのものだ。数分で終わる。私も最初は、これを健診だと思っていた。違う。ここで見つからなかったものは、見つからないまま次へ持ち越される。

だから私は今、「健診はついでにやってもらうものではなく、別の用事として予約に乗せるものだ」と考えている。

予約の電話のときに言っておく

私が変えたのは、電話口での一言だけだった。ワクチンの予約を取るときに、「同じ日に健康診断もお願いできますか」と添える。それだけで診察室での先生の手の動きが変わる。注射前の確認が終わったあと、体重計に乗せ、聴診器を当て、口の中を開け、目の奥を覗き、腹部をゆっくり触る。必要なら血液検査の話になる。

ここで気をつけているのは、健診の中身を自分で固定しないことだ。血液検査を毎年やるのか、一年おきにするのか、麻酔をかける予定があるから今年やるのか。答えは猫の年齢、持病、普段の様子で変わる。私の猫にとっての正解が、隣の人の猫の正解と同じはずがない。だから私は「今年、この子にとってやる意味のある検査はどれですか」と毎年聞き直す。昨年と同じ答えが返ることもあるし、返らないこともある。それでいい。

ワクチンの中身も、同じ場所で毎年確認する。日本で基本になるのは、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症の三つをカバーする混合ワクチンで、そこに何を足すかは生活スタイルで変わる。完全室内飼いか、ベランダに出るか、他の猫と顔を合わせる機会があるか。成猫の追加接種は一般に年一回とされているが、その間隔も、年齢、健康状態、外出の有無を踏まえて毎年見直される。私は「去年と同じでいいですか」と聞く。はいと言われれば、それが今年の答えだ。

健診の結果は、その場で終わらない。次のワクチンが打てるかどうかの材料になる。逆に、注射の前の確認で見つかった小さな変化が、そのあとの健診の項目を変えることもある。二つを同じ日に置いておくと、この往復が一年に一回、同じ診察室で自動的に起きる。

寄生虫予防は「同じ月に置く」であって「同じ月に一回やる」ではない

室内飼いだから寄生虫は関係ない、と私はしばらく思っていた。考えが変わったのは、先生に靴の話をされたときだ。ノミの卵や幼虫は、靴の裏、服の裾、外で触れた他の動物について家に入る。室内は安全地帯ではなく、フィルターが一枚少ないだけの場所だ。

ただし頻度となると話は別になる。スポットオンタイプ、飲ませるタイプ、注射のタイプでは、そもそも間隔の考え方が違う。猫が外に出るか、他の動物が同居しているか、家のどこまで入るかでも変わる。国が決めた一律のカレンダーがあるわけではないので、私がここに数字を書く意味はない。書けるとしたら「製品の箱と、かかりつけの先生の指示を、毎年同じ月に見直す」という手順のほうだ。

私は、猫を迎えた月をアンカーにしている。誕生日でも、迎えた月でも、引っ越した月でもいい。抗体の都合ではなく、人間が忘れないためだ。

大事なのは、アンカー月は「やる月」ではなく「決め直す月」だということだ。寄生虫の薬は、その薬の間隔で一年中続いていく。アンカー月にやるのは、薬の種類が今の環境に合っているか、猫が嫌がっていないか、塗る場所の皮膚が荒れていないか、そもそも今年も必要なのかを、まとめて確認する作業だ。この区別をつけておくと、「その月に全部やらなければ」という圧迫感が消える。

ファイルを一つに決める

ワクチンの証明書、領収書、血液検査の結果、寄生虫の薬の箱を撮った写真。私はこれを一つのクリアファイルにまとめている。ペットホテルに預けるとき、引っ越すとき、夜間に別の病院へ行くとき、「前はいつ、何をしましたか」と聞かれて固まらないためだ。

見落としやすいのは、ワクチンの証明書は残っても、寄生虫の薬の記録はどこにも残らないことだ。だから私は箱を捨てる前に日付の面を撮る。地味だが、これがないと一年後の見直しで「前は何を使っていたか」から思い出す羽目になる。

ずれたときの扱い

アンカーがずれることはある。忙しい年、猫が体調を崩した年、引っ越しの年。そんなとき、遅れを取り戻そうと全部を一度に詰め込まないほうがいい。二つの用事を一日で済ませようとして、診察台の上で猫が疲れてしまう。アンカーは締め切りではなく、決める回数を減らすための道具だから、翌月にずれても、翌年にずれても、機能は失われない。

今年も私は同じ月に、同じファイルを持って、同じキャリーを膝に置いている。受付で「今日はワクチンだけで大丈夫ですか」と聞かれたら、「いえ、健診もお願いしています」と答える。それだけの準備で、一年の予定が一つの月に収まる。

縁側の猫係

著者について

縁側の猫係

幼い頃から猫と共に暮らしてきた人たちの著者名義です。畳や縁側のある暮らしのなかで、日々の食事、毛づくろい、トイレ、季節の備えを重ねてきた経験をまとめています。

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