猫が出入りするベランダや庭に、有毒植物を植えていませんか

この記事の目次
  1. 球根は、葉や花より「濃い」
  2. 買ってきた袋の置き場所
  3. 植えたあとに見るもの
  4. 低木は、量で効いてくる
  5. 全部抜かなくていい
  6. それでも分からないことは残る
  7. 春に、もう一度

猫がベランダや庭に出られる家では、球根と庭木・低木をいちばん先に見直すのが正解です。観葉植物を棚の上に移すより前に、植え付け時期の球根がどこにあるか、鉢の土の上に球根が顔を出していないかを確認する。屋外に出られる猫のいる家では、この二点の点検が、他のどの対策よりも効きます。

猫が出入りするベランダや庭に、有毒植物を植えていませんか

十月の終わり、私はベランダに古い新聞紙を広げ、チューリップの球根を並べていました。茶色い薄皮が指に張りついて、爪の間に入る。網戸の向こうで、うちの猫が座ってこちらを見ています。球根を一つ転がすと、カチッと乾いた音がして、しっぽの先が動きました。

その音が、そのまま答えでした。球根は、猫にとって「転がるもの」「噛めるもの」「カサカサ鳴る袋に入っているもの」です。そして、植物のなかでも成分が濃い部位です。花や葉をかじられる心配をする前に、球根そのものと、球根を入れていた袋の居場所を決める必要がありました。

球根は、葉や花より「濃い」

園芸の説明では「チューリップは球根が有毒」とだけ書かれがちですが、私が重視しているのは、その一言の意味です。同じ植物でも、部位によって含まれる成分の量は違う。球根や種は、葉や花びらより濃い場所になりやすい。つまり、葉っぱをかじられる事故と、球根を掘り出してかじられる事故は、同じ「チューリップ」でも別の事故です。

しかも猫は掘ります。うちの猫は、まず土の表面を前足で確かめて、それから掘る。植えたばかりの鉢は土が柔らかいので、球根まで届いてしまいます。庭のユリも同じで、球根が分球して増えていくので、年々、地面の下にある量が増えていきます。

猫にとって危険性が高い球根として、チューリップ、スイセン、ヒヤシンス、ユリの球根がよく挙げられます。日本だと、この四つは春の鉢植えや庭植えの定番で、しかも植えっぱなしにできるものが多い。だから「去年どこに植えたか」を覚えておくことが、そのまま点検になります。

買ってきた袋の置き場所

私が最初に直したのは、植え付けの方法ではなく保管でした。

以前は、買ってきた球根の袋を、玄関の上がり框に置きっぱなしにしていました。あの袋は、猫にとっては新しいおもちゃです。カサカサ鳴る、転がる、噛める。しかも中身は、植物のなかでも濃い部位。

いまは、買ってきたその日に、ふたのある容器へ移して、猫が入れない閉じた戸棚に入れています。作業中に広げた球根も、その日のうちに片づける。新聞紙ごと畳んで捨てる。台所の作業台の上に「あとで植える」と置いたままにしない。地味ですが、これがいちばん効きます。届くか届かないかでいえば、戸棚は確実に「届かない側」です。

植えたあとに見るもの

植え終わったら、終わりではありません。雨の翌日と、風の強い日の翌日に、鉢と花壇の縁を見ます。

見るのは四つ。土の表面に球根が顔を出していないか。鉢の縁や土の上に落ち葉や花びらがたまっていないか。掘り返した跡がないか。剪定した枝や球根のかけらが地面に残っていないか。

球根は、土が締まったり、水で流れたり、霜で持ち上がったりして、表面に出てくることがあります。猫が掘った跡に、掘り出された球根が転がっていることもある。だから点検は「植えた日」ではなく「植えたあと」に置いています。

低木は、量で効いてくる

球根の次に優先度が高いのが、庭木と低木です。アザレア、シャクナゲ、キョウチクトウ、イチイなどは、猫にとって有害とされる植物として広く挙げられています。

雑草と違って、低木は庭に定着します。毎年、同じ場所から出てくる。量も多い。そして、剪定したときに、切った枝や葉がまとめて地面に落ちる。これが、庭でいちばん危ない瞬間だと私は思っています。落ち葉なら少しずつですが、剪定くずは一気に出る。猫はその山の上を平気で歩きます。イチイのように実がなるものは、赤い実が地面に落ちます。

道路や隣家との境に植わっていることも多く、自分の判断だけでは動かせない。それでも、どこに何が植わっているかを知っておくだけで、猫を出す時間帯や場所の選び方が変わります。庭の見取り図を頭のなかに持っておく、という言い方でもいい。

全部抜かなくていい

ここまで書くと「全部撤去しなければ」と思うかもしれませんが、現実には難しい。借家なら勝手に抜けないし、隣との境の植栽は自分のものでもない。地域で決まっている植栽もあります。

私がやっているのは、撤去ではなく境界線です。猫が届く範囲と、届かない範囲を分ける。

具体的には、鉢を柵の外側や猫の入れない側に寄せる。台を使って高さを出す。ラティスやフェンスで、土の面と猫の通り道を仕切る。届く高さは猫のジャンプ力しだいなので、うちでは「立ち上がって前足を伸ばしても届かない」を一つの目安にしています。低木そのものを動かせないなら、根元に落ちた実や花がらを、落ちた日に拾うだけでも違います。

もう一つは、時間で分ける方法です。猫をベランダに出す時間を決めて、その間は人が見ている。完全な監視でなくても、土を掘り始めたら気づける距離にいる。これだけで、事故の入り口はかなり狭くなります。

それでも分からないことは残る

植物の毒性は、部位、量、その猫の体の大きさで変わります。同じ植物でも、品種改良で性質が変わってきたものもある。だから「これは絶対に安全」と断言するより、濃い部位を届かせない、量の出る瞬間を避ける、という考え方のほうが確実です。

もし猫が球根や庭の植物をかじったかもしれないと気づいたときの対応は、ここで私が書ける範囲を超えています。判断は獣医師に相談してください。私に書けるのは、その手前の、植える場所と片づけの話です。

春に、もう一度

春になって、ベランダに鉢を出す日。土の表面を猫が鼻先でかいでいます。そのとき、私も一緒に土の上を見ます。球根が出ていないか、落ち葉がたまっていないか。

植え付けのとき、雨のあと、剪定のあと、そして春に鉢を出すとき。年四回、この目で見る。派手な対策ではありませんが、猫が屋外に出る家でいちばん効くのは、たぶんこれです。

縁側の猫係

著者について

縁側の猫係

幼い頃から猫と共に暮らしてきた人たちの著者名義です。畳や縁側のある暮らしのなかで、日々の食事、毛づくろい、トイレ、季節の備えを重ねてきた経験をまとめています。

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