ウェットを1袋足した日は、その袋のカロリーと同じ分だけドライを減らす。重さではなくカロリーで引くのが答えです。ドライのグラム数に100gあたりのkcalを掛けて100で割った値と、ウェットの袋や缶に書かれたkcalを足し、その合計がその日の目標に収まるようにドライ側を削ります。1日の予算はひとつだけ。ウェットは別枠のごほうびではありません。
秤の横に貼った紙
台所の秤の横に、油性ペンで書いた小さい紙が貼ってある。猫の1日の目標カロリーと、いま開けているドライの100gあたりのkcal。朝、その二つを見てドライを何グラム出すか決める。袋を開ける音がすると猫が足元に来て、尾がすねに当たる。秤の表示がちらついて、数字が止まるまで待つ。この数秒が、この話でいちばん大事な時間だと私は思っている。
目標の数字は、フードの裏の給与量欄と体重から出した。迷ったらかかりつけで聞く。どこかの記事の数字をそのまま当てはめるのが、いちばん危ない。体重も生活も違うのだから、当てはまるほうが偶然だ。
最初は失敗した。ウェットを1袋足した日も、ドライはいつもと同じ量を出していた。しばらくして、抱き上げたときの手のひらの感触が変わった。肋骨の上に薄い層が一枚増えている。体重計に乗せると、数百グラム単位で動いていた。計算し直して、ようやく意味がわかった。あの日から私は、カロリーを上乗せしていただけだった。
重さで引くと、なぜ狂うのか
ウェットフードはおよそ75〜80%が水分だ。だから同じグラム数を並べても、中身のエネルギーはまったく違う。ドライは水分がずっと少なく、その分だけ密度が濃い。ここを意識せずに「ウェットを70g足したからドライも70g減らす」とやると、削り足りないか、削りすぎるか、どちらかに転ぶ。経験から言えば、多くの場合は削り足りない。
数え方は、両方をカロリーに翻訳してから足す。ドライのグラム数 × 100gあたりのkcal ÷ 100。ウェットも同じように、袋や缶のカロリーをそのまま、あるいは100gあたり表示なら内容量で按分して足す。出てきた二つを合わせて、その日の目標と比べる。それだけの作業だ。
表示が100gあたりのとき
日本の袋や缶は、100gあたりのkcalで書かれていることが多い。1袋あたりの表記があればそのまま使えばいい。100gあたりしかないときは、袋の総量を掛けて按分する。70gの袋なら0.7を掛ける。ここで手が止まる人は、袋のどこに内容量が書いてあるか、一度確認しておくといい。私も最初、総量を見ずに100gあたりの数字をそのまま1袋のカロリーとして扱い、その日は予算を大きく超えていた。
例として、ドライが100gあたり400kcal、ウェット1袋70gあたり60kcalだとしよう。実際の数字は手元の表示で置き換えてほしい。1袋足すなら、60 ÷ 4 = 15g。ドライを15g減らす。70gではない。ここが、この計算でいちばん気持ちのいい発見だった。思っていたよりずっと、ドライを減らさずに済む。
水分はカロリーを動かさない
ウェットの水分は、その子の1日の水分摂取にちゃんと加算される。あまり水を飲まない子にとっては、そこが併用する理由のひとつになる。ただ、水分はカロリーの合計には影響しない。水を飲んだ分を食事から引かないのと同じで、ウェットの水分を理由にドライをさらに削る必要はない。ここを混ぜて考えると、計算が二重になって、私は一度わからなくなった。
2週間は数字を動かさない
切り替えた直後は、いちばん混乱する。だから合計カロリーを一定にしたまま、2週間そのまま置く。その間に見るのは数字より体のほうで、同じ曜日の同じ時間に体重を測り、肋骨と腰の手触りを確認する。骨が触りにくくなったら多い、逆にごつごつしてきたら少ない。手のひらの感覚は、体重計より少し遅れて、でも確実に教えてくれる。
2週間動かさずにいると、その子がこの配分でどうなのかが見えてくる。そこで初めて、ドライとウェットの比率を調整する。最初から細かく刻んで合わせようとすると、何が効いたのかわからなくなる。うちの場合は最初の2週間で体重がほぼ横ばい、体つきも変わらず、そのままの配分で落ち着いた。
食べない日は、計算の出番ではない
併用は、食いつきの悪い子や高齢の子に食事の入口を作るためにも使う。だから、ウェットを急に残す、全体の量が落ちる、といった変化は、計算でどうにかする話ではない。数字を合わせ直すより先に、動物病院に相談する。診断を受けて食事の組み合わせを指定されている子については、この計算は役に立たない。そこは獣医の指示が優先だ。
秤の横の紙は、増やすときも減らすときも、同じ一行を書き換えるだけで済む。予算がひとつしかないから、迷う場所が少ない。今日ウェットを出したら、その分だけドライの数字が小さくなる。それだけのことを、私は毎朝やっている。