しつけ直しの前に猫がトイレ砂を嫌がる理由は深さと香りかもしれない

この記事の目次
  1. 深さは指で測る。数字より先に手を入れる
  2. 香りは消臭ではなく上書きになりうる
  3. 質感は好みで、優劣ではない
  4. 新しい砂は混ぜて、箱は二つ並べる
  5. 反抗と決める前に見るもの
  6. 記録は三項目で足りる

トイレ砂を嫌がる猫を見たとき、まず疑うべきは猫のわがままではなく、砂の質感・香り・深さです。しつけ直しや行動の修正より先に、この三つを切り分けて確かめる。砂を替えるなら一度に全部入れ替えず少しずつ混ぜ、深さは固まる砂なら3〜5cmを目安に、猫が前足で実際に掘れる状態に整えます。これで改善する例は少なくありません。

しつけ直しの前に猫がトイレ砂を嫌がる理由は深さと香りかもしれない

夜の十時、部屋の灯りを落としたあと、私は猫がトイレへ歩いていく足音を聞いていました。砂を二回かく音。そこで終わり。かき出す音も、用を足す気配もないまま、猫は出てきて廊下でこちらを見ています。トイレの縁に前足をかけて、中に入らずに止まる日もありました。

私はしゃがんで、手のひらを砂に沈めます。指の間から落ちていく粒の細かさ。手を抜いたあとに鼻へ残る、花のような甘い匂い。これは、猫の鼻の前でずっと花が咲いているのと同じことです。

深さは指で測る。数字より先に手を入れる

最初にやったのは、定規を砂に差し込み、かき混ぜずに引き抜くことでした。うちの場合、底が見えそうなほど薄い場所と、指の付け根まで埋まるほど盛られた場所が、同じ箱の中に混在していました。猫は歩くたびに立ち位置を選び直すことになります。それでは落ち着けません。

固まる砂を使っているなら、3〜5cmが一つの目安です。ただし数字は目安でしかありません。見るべきなのは、猫が前足を突っ込んで爪で引っかけられるかどうかです。浅すぎれば砂が爪に残らず、掘る動作が途中で止まる。深すぎれば足が沈みすぎて重心が定まらない。私は箱の四隅と中央の五か所に指を立て、第二関節まで埋まるかどうかを確かめています。

砂が箱の外へどれだけ飛んでいるかも見ます。勢いよく掘っている猫は、たいてい外に多少まき散らします。逆にほとんど飛んでいないのに毎回トイレの前で立ち止まるなら、掘りたくても掘れていない可能性があります。

香りは消臭ではなく上書きになりうる

消臭効果のある砂や香りのついた砂に替えた直後から、トイレを避け始めることがあります。猫は自分の排泄物の匂いを、自分の縄張りの情報として使っています。強い香料はその匂いを消すのではなく上書きしてしまう。結果として、自分の匂いが残らない場所になり、落ち着いて使えなくなります。

無香料を選ぶ理由は、猫が香りを嫌うからという単純な話にとどまりません。人間の鼻でいい香りでも、猫の嗅覚では相当な強さになります。私は砂の匂いを確かめるとき、乾いた状態と少し湿らせた状態の両方を嗅ぎます。湿ったときに匂いが立つ砂は、使われたあとに匂いが増幅します。

消臭ビーズやシートを併用しているなら、それも一度外してみてください。砂を替えていないのに避け始めたときは、周辺で後から足したもののほうが原因であることがあります。

質感は好みで、優劣ではない

固まる砂と固まらない砂では、足裏に伝わる感触がはっきり違います。粒の硬さ、角の丸み、踏んだときの沈み方。片方を受け入れて、もう片方を避ける猫は珍しくありません。気まぐれではなく、足裏の感覚の問題です。

ペレット状のものや植物性の素材は、切り替えの途中で選択肢になります。ただし、いきなり総入れ替えはしないでください。今までの砂に一割程度を混ぜ、数日かけて割合を増やす。混ぜる位置も、最初は箱の片隅に寄せて、猫が自分で選べるようにします。

ここで大事なのは、どちらが優れているかではなく、うちの猫がどちらで掘る気になるかです。私は砂の種類を、製品名ではなく粒の形と固まり方で記録しています。名前で覚えると、次に別のものを選ぶときに応用が利きません。

新しい砂は混ぜて、箱は二つ並べる

切り替えの基本は、一度に一つの変数だけ動かすことです。深さを変えながら砂の種類も変えると、どちらが効いたのか分からなくなります。まず深さを整え、一週間ほど様子を見る。それでも改善しなければ、次に香り、そして質感の順です。

もう一つの手は、古い砂の箱と新しい砂の箱を並べることです。猫に選ばせる。強制しない。二つの箱は離しすぎず、同じ部屋の、同じくらい静かな場所に置きます。猫は数日かけて行き来し、最終的に自分で決めます。こちらが決める必要はありません。

段階を踏むと時間がかかります。これは正直なところ、デメリットです。すぐ替えたい気持ちは分かりますが、急いだ結果トイレそのものを避け始めると、戻すのに何倍もかかります。

反抗と決める前に見るもの

トイレの外で粗相をしたとき、私たちはつい、わかってやっていると考えます。けれど猫が砂を避ける理由には、肉球の過敏や、最近の砂の入れ替え、足の裏に挟まった粒といった、単純な物理的要因が混ざります。新しい砂の粒が角ばっていて、肉球の間に挟まったまま歩いている、ということは実際にあります。

少なくとも、砂を替えた日、箱を洗った日、シートを変えた日は、カレンダーに印をつけておく。行動の前に、環境の変更を並べて見る。私が最初にやるのはこれです。それでも改善しない場合や、排尿の回数や姿勢そのものが変わってきた場合は、好みの話ではなくなります。ここから先は観察の範囲を超えるので、私は記録を持って相談します。

記録は三項目で足りる

観察の記録は、日付、砂の状態(粒の形・香りの有無・深さ)、猫の反応の三つで十分です。反応は、入ったか、掘ったか、出たあと砂をかけたかの三段階で書きます。うまくいかない日も同じ形式で残すと、後から見たときに変化が読めます。

全部を一度に直そうとすると、何が効いたのか分からなくなります。砂と深さは、いちばん動かしやすく、いちばん戻しやすい変数です。しつけ直す前に、まずここを整える。それだけで、猫がトイレに入るまでの足取りが変わることがあります。

縁側の猫係

著者について

縁側の猫係

幼い頃から猫と共に暮らしてきた人たちの著者名義です。畳や縁側のある暮らしのなかで、日々の食事、毛づくろい、トイレ、季節の備えを重ねてきた経験をまとめています。

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