網戸ロックは網戸の枠を窓枠に留め、網戸が滑ったり持ち上がったりするのを止める道具です。ただ、ガラス戸そのものがどこまで開くかは制限できません。猫が窓から出てしまう経路は、このロックが見ている場所とは別に三つあります。閉め切っていても網戸枠と窓枠のあいだに残る隙間、網戸のローラーが下レールにきちんと収まっているかという点、そして窓を少しだけ開けておいたときに桟の端に残る開口部です。どれも、網戸が本来は虫を入れないための建具で、猫の体重や押す力を前提に作られていないことから出てくる話です。
夜、窓を閉めて回るついでに、私は手のひらで網戸の枠をそっと押します。押し返してくる感触があれば、その窓はひとまず合格です。手を離したあとに「カタ」と小さく鳴る窓があって、その音がする場所は翌朝もう一度見ます。鳴り声はたいてい、下のレールとローラーのあいだから出ています。
ロックが留めているのは網戸の枠で、ガラス戸ではない
ロックやストッパーと呼ばれているものの仕事は、網戸の枠と窓の枠をつなぎ止めることです。網戸が横に滑る、あるいは持ち上がって外れる、その二つを止めます。だから網戸そのものが外れにくくなるのは確かです。
ただし、ガラス戸は別の話です。窓を開ければガラス戸は動くし、開いた分だけ窓は開いています。ロックはそこに関与しません。私が最初に勘違いしていたのはここで、網戸を留めれば窓全体が安全になったような気になっていました。実際には、守っている場所と、猫が出ていける場所がずれている。このずれを先に頭に入れておくと、次にどこを見ればいいかが決まります。
閉めていても、枠と枠のあいだには隙間が残る
窓を閉め切って、網戸も閉め切る。それでも、網戸の召し合わせ側の框と、窓の框のあいだには段差と隙間が残ります。サッシは二枚の桟が前後に重なる構造で、網戸はその外側のレールに乗っているので、どう閉めても面が一枚にはならないからです。
指の腹を縦に滑らせると、ひっかかる場所と、すっと落ちる場所があります。落ちる幅が広い窓は、少し古い建具だったり、枠が歪んでいたりする家です。うちでは、猫が小さいころに一度、その落ちる場所へ鼻先を入れていました。入ってしまえば、あとは身体がついていく。網戸ロックは、この縦の隙間には何もしてくれません。
埋めるのは簡単で、隙間の幅を指で確かめて、そこに何かが挟まらないように管理する。それだけですが、見ないと分からない場所でもあります。閉めているから大丈夫、という感覚が一番危ないところです。
下レールとローラーは、週に一度見る場所
網戸は下のレールに乗ったローラーで滑ります。ローラーが摩耗すると枠が低い位置に沈み、上の逃げが大きくなって、持ち上げたときに外れやすくなります。レールに砂や猫砂が噛んだまま動かすと、その分だけ削れていきます。
だから週に一度、網戸の枠を指先で軽く持ち上げて、上下の遊びを見ます。持ち上がる幅が大きい、閉めたときに傾く、上枠とのあいだに細い線が見える。そういうときは、網戸が本来の溝にきちんと座っていません。
強化のネットや厚みのある枠は、押し込む力には確かに強いと思います。でも、溝に正しく座っていない網戸は、網が丈夫でも外れます。ここは順番の話で、強度より先に「収まっているか」を見る。私はそう決めています。
少しだけ開けておくとき、桟の端に残る開口部
夏の夕方、窓を少しだけ開けて空気を入れたいことがあります。このとき開口部ができるのは、桟の端、つまり戸が引き込まれていく側です。リミッターはこの開口部の幅の上限を決める道具で、網戸ロックとは役割がまったく違います。
私が窓を開けるのは換気のためなので、開ける幅は「猫が通れるか」で決めます。頭が通る幅は、たぶん身体も通ります。だから、開ける幅を先に決めてから窓を動かす。開けてから「このくらいなら大丈夫」と決めると、その判断はだいたい甘い方に流れます。
二枚桟の窓では、順番が結果を変える
ガラス戸が二枚ある窓では、どちら側に制限をかけるかで使い勝手が変わります。ガラス戸側に付ければ、網戸は開け閉めできる状態のまま残せるので、換気をしながら網戸を動かせます。逆にすると、網戸を開けるたびに制限の意味が薄れて、そのうち面倒になって外す。外した道具は、ないのと同じです。
網戸は、虫のための建具だと線を引く
ここが私の落ち着きどころです。網戸は蚊を入れないために作られた建具で、猫の体重を支える設計にはなっていません。だからロックもリミッターも、網戸の性能を上げる道具ではなく、猫が窓に近づいたときに通り道を作らないための道具として扱っています。
道具で全部を塞ごうとすると、古い建具では必ず限界がきます。網戸が座っていない、枠が歪んでいる、ローラーが減っている。その状態では、何を足しても土台が動きます。だから私は、開ける幅を先に決める、網戸が溝に収まっているかを確認する、不安な時間帯は窓を閉める。この三つを先に置いて、道具はその上に乗せるものだと思っています。
窓を閉めて回るとき、網戸の枠、下のレール、桟の端。指先で足りる確認です。