冬のフケが気になって強くブラッシングするほど猫の毛が傷む理由

この記事の目次
  1. 「見えている粉」と「手に残る感触」は別の問題
  2. 圧はブラシの重さだけで足りる
  3. 長毛は肌まで分けて見る
  4. 広がり毛は、濡らさずに落ち着かせる
  5. これをやっても続くときは
  6. 戻るまでには時間がかかる

冬のフケを気にしてブラッシングを強く、長くするほど、猫の毛は傷みます。冬の被毛は乾燥した空気の中で水分を失っており、そこにブラシの圧力が加わると、剥がれかけていた角質がこすり取られ、毛の表面も削られていきます。フケを落とそうとしていた手が、ごわつきを作っている側に回る。だから最初に変えるのは道具でも回数でもなく、押しつける圧と、一回あたりの長さです。一回を短く、軽く。これを先に決めてから、見えている粉と手に残る感触を分けて考えます。

冬のフケが気になって強くブラッシングするほど猫の毛が傷む理由

私がこの順番を信用するようになったのは、去年の12月、リビングの照明の下で猫を膝に乗せていたときでした。背中にブラシを入れると、白い粉がふわっと光の中に浮く。気になって、同じ場所をもう一度、今度は少し強く。翌日も、その翌日も同じことをして、三日後に手のひらで背中を撫でたとき、指先に残ったのは絹のような感触ではなく、フェルトを撫でたような引っかかりでした。毛が寝ずに広がって、手のひらにまとわりつく。あのとき私は、フケを取る作業と毛を壊す作業を、同じ手で同時に進めていたわけです。

「見えている粉」と「手に残る感触」は別の問題

膝の上でやることは二つだけです。順番も決まっています。

まず光にかざす。白い粒が皮膚の上に浮いているなら、それは剥がれた角質です。冬は部屋の空気も被毛の中の水分も減るので、皮膚の細胞が剥がれやすくなり、フケとして目に付きます。皮膚そのものに炎症がないことも多く、この場合の根本は「こする」ではなく「乾かさない」です。加湿を戻す、暖房の風を直接当てない。まず環境の側を触ります。

次に、手のひらで毛を毛流れに逆らって一度だけ撫でる。ここで引っかかる、ざらつく、指に毛が絡むなら、それは毛の表面の話です。キューティクルが削れて毛同士が絡み、広がって見える。

この二つは同じ猫の、同じ背中で、同じ季節に起きます。だから混ざる。でも片方は「落ち着かせる」方向に、もう片方は「触りすぎない」方向に手を動かすことになる。冬のフケがしつこいと感じる人の多くは、この二つを一つの作業で片づけようとしているのだと思います。

圧はブラシの重さだけで足りる

私が冬に守っているのは、手首を固定して、ブラシの重さだけで滑らせるという感覚です。背中にブラシを置いたとき、毛が沈んで皮膚の輪郭が見えるなら強すぎます。毛が沈まずに表面をなぞっていくなら、だいたい合っています。同じ場所を二度以上往復しない、というのも自分に課しているルールです。往復が増えるほど、摩擦は同じ一点に積み上がります。

時間も同じです。私は3分を1日2回、間をあけて。10分を一度にやるより、3分ずつ分ける。摩擦は時間に比例して積み上がるので、長く丁寧にやることが正義だという感覚は、冬の間だけでも外したほうがいい。丁寧さは圧に出るもので、時間の長さに出るものではありません。途中で猫が膝から降りるなら、それは圧が強いか、同じ場所を触りすぎているサインのことがあります。

冬に毎日使う道具の話

金属のピンが並んだスリッカーを、乾いた肌に毎日当てるのは、この季節の使い方としては合いません。ピンが皮膚の近くで引っかかり、剥がれかけの角質をさらに持ち上げてしまいます。肌に接する面がやわらかいラバーや、毛が密に詰まったブラシのほうが、多くの毛質で冬は合わせやすい。これは「どれが優れているか」の話ではなく、「冬に毎日使うものとしてどうか」の話です。夏と同じ道具を、同じ圧で、同じ長さで使っているなら、そこだけ一度ずらしてみる価値があります。

長毛は肌まで分けて見る

長毛の場合、表面を撫でているだけでは足りません。脇の下と後ろ足の付け根で、指で毛を割って肌まで見ます。冬は乾いた摩擦で、この二か所にマットの芯が最初にできます。皮膚に近いところで毛が固まり始めているのに、上から撫でると全体がつるんとしているように見える。週に一度、指で分けて、引っかかりがあるかどうかだけ確認しています。見つけたら、その日のうちに無理に引きはがそうとはしません。少しずつ、毛の根元を押さえながら分けていくだけです。

広がり毛は、濡らさずに落ち着かせる

静電気で毛がふわっと広がっているとき、水で濡らすのは違います。手のひらをほんの少しだけ湿らせて、毛流れに沿って上から一度撫でる。それだけで毛は落ちます。猫は濡れた感触を嫌がる子もいるので、手に残る水分だけで十分です。濡らすのではなく、手の水分を借りる感覚。広がりは、ブラシを増やして解決するものではありません。

これをやっても続くときは

赤みがある、かさぶたがある、激しく掻いている、部分的に毛が抜けている。このどれかがあるなら、ブラシの当て方を変える話ではありません。動物病院に相談する領域です。ここに書いていることは、肌そのものに異常がないときの、摩擦と乾燥の調整の話でしかありません。

戻るまでには時間がかかる

私は手のひらの感触を3段階でメモしています。つるつる、ふつう、ざらつき。それと部屋の湿度。圧を落としてから、手触りが戻るまでだいたい2週間くらいかかりました。焦って触る回数を増やすと、その2週間が延びるだけでした。

冬のフケは、落とすものというより、減らすものだと思っています。手を強くするほど、遠くなっていく。

縁側の猫係

著者について

縁側の猫係

幼い頃から猫と共に暮らしてきた人たちの著者名義です。畳や縁側のある暮らしのなかで、日々の食事、毛づくろい、トイレ、季節の備えを重ねてきた経験をまとめています。

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