掃除機が苦手な猫と暮らす人の春の抜け毛掃除の順番と工夫の基本

この記事の目次
  1. スイッチを入れる前に、静かな道具で半分片づける
  2. 音の出る掃除は、猫が別の部屋で食べている数分に寄せる
  3. 逃げ道と高い場所は、掃除の間だけでも残す
  4. 順番を固定すると、猫の緊張は「予測できる緊張」に変わる
  5. 無理をさせない目安

春の抜け毛掃除は、音の出ない作業を先に、音の出る作業をあとに回す。猫の寝場所と食事場所から静かな道具で整え、逃げ道と高い場所を残したまま、部屋を回る順番を毎回同じに固定する。掃除機が苦手な猫を小さな部屋に閉じ込める必要はない。順番さえ守れば、音は猫にとって「遠くで鳴っているもの」のままでいられる。

朝、リビングのカーテンを開けると、窓際のキャットタワーの三段目に猫がいる。しっぽだけ垂れて、ほとんど動かない。床を見ると、フローリングの隅に毛が小さな塊になって転がっている。廊下の角、ソファの下、テレビ台の配線のまわり。あなたの足元にも、うっすら毛の帯ができているはずだ。

ここで掃除機のコードを引っ張り出すと、その日の午前は終わる。コードが床をする音で耳が動き、スイッチを入れた瞬間にタワーから降りて、ソファの裏に入ったきり出てこなくなる。だから私は、コードを出す前に手を動かすことにしている。

スイッチを入れる前に、静かな道具で半分片づける

まず用意するのは、掃除機ではなく、ゴム手袋かゴムブラシ、乾いたドライモップ、粘着ローラー、そして固く絞ったぞうきん。音のしない道具だけで、春の毛はかなりの量が取れる。カーペットなら、ゴムの面を一方向にすべらせる。すると毛が押し集められて、丸い塊になって転がる。その塊を拾うだけで、掃除機をかける回数を減らせる。

順番は、猫の寝場所から。ただし、寝ている猫の真横をいきなり拭かない。猫が自分で起きて場所を移るのを待って、空いたところを整える。うちではタワーの下段と、その下のラグが最初になる。ここを静かな道具で済ませておくと、あとで掃除機をかけても、猫の定位置がきれいなまま残る。逃げ込んだ先が汚れていないというのは、猫のほうがよく分かっている。

ブラッシングを嫌がらない猫なら、この段階で軽くすませておく。床に落ちる毛の量が変わる。ゴム手袋をはめた手で、撫でるように背中を一度通すだけでも違う。

音の出る掃除は、猫が別の部屋で食べている数分に寄せる

掃除機をかける時間は、猫が台所か寝室で餌を食べている時間に合わせる。フードパズルを転がしている日は、夢中になっている数十秒があるので、そのあいだに音の出る作業を進める。部屋を分けるのは、猫が自分から入っていくときだけ。閉じ込めるためではなく、音との距離を取るためだ。ドアを閉めるとしても餌の部屋のドアだけにして、猫が出たいときに開けられる状態はなるべく保つ。

スイッチは、猫の視界に入る位置で入れる。背後で急に鳴らさない。これだけで、飛び上がって走り出す回数は減る。音そのものより、いつ鳴るか分からないことのほうが怖いのだと、同じ家で暮らしていて思う。

逃げ道と高い場所は、掃除の間だけでも残す

掃除機をかけているあいだ、猫の通り道を塞がない。コードを横切らせない。家具を動かすのは一気にではなく、猫が引ける方向をひとつ残してから。追いかけるのは論外で、角に追い詰める形になると、次に掃除機を出しただけで部屋からいなくなる。

高い場所は最後まで残す。キャットタワーや棚の上は、掃除のあとに回す。猫が上にいるあいだは、その下を掃除機が通るだけでいい。上に逃げられるという前提があると、床の音への反応がまるで違う。

順番を固定すると、猫の緊張は「予測できる緊張」に変わる

うちでは、回る部屋の順番を決めている。リビングの窓側、廊下、寝室、最後に台所。毎回同じだ。掃除機を出したら窓側から始めると決まっているので、猫は後ろからも、上からも、急に現れない。それが分かると、掃除のあいだタワーにいたまま、目だけで私を追うようになった。慣れたというより、諦めに近いのかもしれないが、走らなくなる。

一度に全部やろうとすると、たいてい途中で猫が動き、私も焦る。だから、1日で回りきらない日は寝室までで終わりにする。短い時間を何度か繰り返すほうが、長い一回より猫の反応は穏やかだった。これは猫の性格によるので、うちの場合は、という話でしかない。

無理をさせない目安

掃除のあとに口のまわりが濡れている、よだれが出ている。何時間も同じ場所から出てこない。餌を残す。そういう日が続くなら、掃除の工夫でどうにかしようとせず、獣医に相談したほうがいい。家の中の音への反応がそこまで強いのは、もう掃除の順番の問題ではなくなっている。

掃除機をしまい、コードを巻いて、窓を少し開けて換気をする。舞った毛が落ち着くのを待つと、猫がタワーから降りてきて、きれいになった床の匂いを嗅ぐ。そこまで見て、ようやく掃除が終わったと思う。春のあいだは、この一連を週に何度か繰り返す。回数を増やすより、順番を変えないほうが、お互いに楽だ。

縁側の猫係

著者について

縁側の猫係

幼い頃から猫と共に暮らしてきた人たちの著者名義です。畳や縁側のある暮らしのなかで、日々の食事、毛づくろい、トイレ、季節の備えを重ねてきた経験をまとめています。

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